季節のないところに暮らしていても、ずっと夏気分でいるのはつまらないし、少々しんどくなる時があります。SNSやニュースで流れてくる東京やNY、ヨーロッパの秋の景色を見ては懐かしく羨ましくて仕方なくなったり…。
来星して最初の頃は仕方ないと思っていたけれど、3年目に突入した今年は生活に少し季節感を出すように工夫してみることにしました。
秋の果物や根菜を食事に入れるようにしたり、ヘアカラーも秋色にしたり。ファッションも雨季に入って温度が少し下がったので、スウェード素材やニットを取り入れたり、普段より少し長めのスカートを履いてみたりしています。無理矢理感は拭えないけれど、何もしないよりは大分楽しい気がします
そして、秋冬といえば読書ということで、新しい本や昔好きだった本を引っ張りだして読み始めました。
サマセットの図書館で見つけて思わず小躍りしてしまったのが、大好きな雑誌「Kinfolk」が出している料理本。
NY、ポートランド、ロンドン、シアトルなどに住むカップルの食卓やレシピを紹介しているのですが、写真とエッセイが雑誌同様、味があってすごく素敵で…
自然体で好きなものにこだわった生活は、贅沢さはないけれどとても豊かで憧れます。
村上春樹氏のエッセイ「
ポートレート・イン・ジャズ」は、秋になるとジャズを聴きながら読みたくなる一冊です。
著名なジャズミュージシャンのあまり知られていないパーソナルな部分に焦点を当て、数ページずつ紹介しているのですが、淡々としているのに、著者のジャズに対するパッションで溢れていて、引き込まれます。
この本を初めて買った時は、紹介されている曲を聴きたくても逐一iTunesで買うしかなかったのに、今はApple MusicやSpotifyですぐに聞けるから、本当に楽しい。和田誠さんのイラストもシンプルながら特徴を捉えていて、人物をイメージできてわかり易いです。
洋書で最近読んだのはJanice Leeの「
Expatriates」。
香港に住む3人の駐在女性が主人公のミステリー小説です。3人の子の内1人が行方不明になってしまった母親、不妊と夫の浮気に悩む妻、大学を卒業したてでバイトをしながら居場所を探している女の子、と一見関係のない世界に住むそれぞれの運命が絡まっていく…とうストーリーです。
あらすじだけ見ると駄作になりかねない設定ですが、Janice Leeの詳細な心理描写と詩的な表現力で読み応えがある作品でした。
平野啓一郎さんの「
マチネの終わりに」は、6月に一時帰国した時にとても話題になっていて、思わず手にした一冊です。天才ギタリストとジャーナリストという知的な感性を持った二人の運命的な出会いから始まるストーリー。40近い精神的に自立した大人同士が互いを思いやりながら紡いでいく純愛がテーマですが、とにかく文章が美しい。
哲学的なことが書かれていても、簡潔で心に響いて、ページをめくるのが惜しい一冊でした。「ポートレート・イン・ジャズ」のように、クラシックですが曲名がたくさん出てきます。
読み終わった後は、村治佳織さんのギターを聴きたくなりました。
1960年代にNYのティファニーで銀食器を購入した顧客に贈られていたマナー本が書籍となって発行され、和訳されたのが昭和44年のこと。
翻訳者のあとがきには、海外で日本人が活躍するようになった今、恥ずかしい思いをしないようきちんとしたマナーを身につけてほしい、と書かれています。
割と真面目な目的で翻訳されていますが、書かれていることはユーモアたっぷりで思わず笑ってしまう表現ばかり。カップルや家族で一緒に読んでも楽しめる一冊です。
こんなに可愛い本なのに価格はたったの800円!ということで、よく友だちにクリスマスプレゼントやウェディングギフトのおまけとして贈っていました。
見かけもティファニーブルーで可愛いので、インテリアアイテムにもなります
「マチネの終わりに」と「ティファニーのテーブルマナー」は、日本人会図書館にもありました。いずれもオススメの一冊です。
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